広告代理店を目指す就活生におすすめの本①
このブログでは、広告代理店を目指す就活生が読むべき本について紹介していきます。
第一回目の今日は、「広告ビジネス次の10年」について紹介します。
この本は、基本的には広告業界で働く社会人に向けて警鐘を鳴らすような内容の本ですが、広告業界のこれまでの流れや今後の展開について知る良い機会になると思い、この本を紹介することにしました。
では詳しく見ていきましょう。
1.執筆者について
(1)横山隆治(よこやま・りゅうじ)
⇒青山学院大学を卒業後、ADKに入社しインターネット広告黎明期の1996年に日本国内でメディアレップ事業を行う専門会社「デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム」DACを設立。
現在は、「デジタルインテリジェンス」代表取締役。
(2)榮枝洋文(さかえだ・ひろふみ)
⇒米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。2002年から2012年までADKアメリカ法人CFO兼副社長を務めた。
現在は、デジタルインテリジェンス取締役、ニューヨークオフィス代表。
2.ざっくり言うと
(1)広告代理店は広告枠売買の「代理」から、マーケティングの「代理」に移行している。
(2)データを保有する代理店の価値が高まっている。
(3)長期的には、コンサル系企業と戦っていかなければならない。
3.本の要約
(1)広告枠売買の「代理」からマーケティングの「代理」へ
これまで広告代理店は、広告枠売買の代理としての業務が中心でした。
しかし、1996年前後にインターネット広告が登場して以来、広告の掲載自体は誰でも簡単に行えるようになりました。
(現に、リスティング広告、SNS広告など、アカウントを取得して操作方法さえ知れば、広告の出稿自体は誰でも簡単に行なえます。)
当初は、ネット広告への参入障壁が下がったことで、多くの企業がネット広告事業に参入しました。
競合企業が増えたことで、企業は、様々な差別化を図る取り組みをはじめました。
その中で生まれたのが、「マーケティング」の要素です。
それまでのテレビ広告で取れるデータといえば視聴率程度で、実際に広告の効果を数値で測定したり分析することは困難でした。
それに対してインターネット広告は、ユーザーの属性情報をはじめ、費用対効果を細かく把握できるため、広告の効果を数値で測定し、分析できるようになりました。
このように広告代理店の役割は、広告枠売買の「代理」からマーケティングの「代理」へと変化したのです。
(2)データを保有する広告代理店の価値が高まっている。
インターネット広告の登場によって、広告の効果が細かく把握できるようになった中で、「オーディエンスデータ」を保有する意味が高まってきています。
なぜなら、ユーザーの購買・行動履歴データなどを含むオーディエンスデータこそが効果の高い広告配信に直結するからです。
しかし、現実に最も多くのオーディエンスデータを保有する企業は「Google」をはじめとする有力メディアです。その他にもポイントカード、クレジットカードや外部のデータ提供会社も存在します。
広告代理店は、オーディエンスデータを保有する立場にないのが現実です。
その中で、一部の広告代理店が取り組み始めているのが、「オウンドメディア」の運用です。
オウンドメディアとはすなわち「自社メディア」のことで、会社が保有するメディアを指します。
このように、広告代理店が自らメディアを運用することで、オーディエンスデータを獲得するための取り組みが行われています。
(3)長期的には、コンサル系企業と戦っていかなければならない。
これまで述べたとおり、単純に広告枠を保有していることの価値がなくなり、マーケティングの役割が強くなっている状況の中で、広告は広告代理店だけのものではなくなってきています。
例えば、コンサルティング会社は、まさにマーケティングを駆使して企業の課題解決を行ってきた会社です。
彼らの本業であるコンサルティング業務の中で、必要であればインターネット広告の出稿を提案することも事実上可能です。
実際にアクセンチュアでは、メディア買収などをはじめ、デジタルマーケティング領域への動きも見られます。
このように今後長期的に見ると、広告代理店はコンサル系企業も競合になりえるといえるでしょう。
4.まとめ
いかがだったでしょうか。
『広告ビジネス次の10年』は、業界人向けに書かれた本ということもあり、専門用語も多く内容も容易ではありませんが、本書の内容を理解すれば、広告業界の基本的な知識を身につけることができます。
就活生の皆さんは、ぜひ今後の広告業界の流れを理解した上で就活に臨むようにしましょう!