広告代理店を目指す就活生におすすめの本⑤:「発想の技術」
1.執筆者の紹介
樋口景一さん
⇒株式会社電通CDC局・エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター。国内で広告キャンペーンのディレクションや商品開発を行う一方、海外での事業開発案件を多数手がけるなど広告領域を越えた活動をグローバルに展開。最近では発展途上国を中心に地域や国家ブランディングに携わる。 カンヌ国際広告賞金賞など国内外の受賞多数。カンヌ、クリオなど審査員歴多数。 2008年より武蔵野美術大学非常勤講師。 著書に「発想の技術」 (電通)、「社会人思春期の歩き方」(廣済堂出版)、「仕事という名の冒険 世界の異能異才に会いに行く」(中央公論社)。
(引用:電通報プロフィール)
2.ざっくり言うと
(1)面白いTVCMには必ず「オドロキ」が含まれている
(2)電通が評価しない広告・絶対に作らない広告とは
3.広告代理店を目指す就活生にとって重要なポイント
(1)面白いTVCMには、必ず「オドロキ」が含まれている
本書の中で樋口さんは、「人は、笑う前・泣く前・感動する前に必ず『驚いている』」といっています。
たしかに、コントを見て笑う時であれ、映画を見て感動するときであれ、見る側は、ストーリーに対して常に予測を立てていて、それが裏切られたときに笑う・泣く・感動するといった感情が生まれます。
例)
・ドラマで登場人物が助かったと思ったら助からなかった
⇒死んでたの?(おどろき)⇒涙
・死に瀕した父親がふとユーモアをいう
⇒こんなに厳しい状況で、こんなこというの?(おどろき)⇒涙
TVCMの表現パターンについては、以下の記事で詳しく紹介されていたので、
参考にしてみてください。
(1)電通が評価しない広告・絶対に作らない広告とは
樋口さんが評価しない(つまり、電通が評価しない)TVCMとして、本書では「オムニバスCM」が挙げられています。
例えば、保険CMなどでありがちな、以下のCMです。
例)
よく見る、いい感じの保険会社のCM
センチメンタルな音楽♪~
①肩を抱く男女
②孫を頑張って抱っこする祖父
③大きくなったお腹の中で赤ちゃんが動く
④はじめてひとり歩きする我が子
⑤街の風景にいい感じのコピー「たいせつなものを大切にしたい ◯◯保険」
要は、同じようなシーンを繋げて見せて、当たり障りのない表現をするCMです。
樋口さんは、こういったCMでも切り取り方を変えて、「ワンシーンを切り取って拡大すると物語化しはじめて、ありがちな表現から逃げることができる。」といっています。
例えば、以下のような改善方法があります。
例)改善案「赤ちゃんが転ぶシーンを拡大」
①赤ちゃんが転んで大泣き。まだ歩けない。
②パパが助けに行こうとすると、ママがそれをとめる。
③赤ちゃんは何度もトライ。
④そして失敗する。
⑤でも頑張る。
⑥ただ見守るパパとママ。
⑦見守るパパとママの横に「たいせつなものを大切にしたい ◯◯保険」
「みんなはこういうとき、こう思うよ(大衆の共感)」という全体的にな表現ではなく、「僕は、この時、こう思った。(誰もが経験する個人の共感)」という誰もが経験するようなシーンを拡大して、たくさんの個人に訴求することで、心に残りやすくなるということです。
4.まとめ
いかがだったでしょうか。
本書は、電通の現役ECDが執筆した本で、電通がTVCM製作時に考えていること、評価するCMなどの情報が詰まっています。
インターンや本選考でも、「TVCMを考えて下さい」といった問題は出題されやすいので、選考前に一度読んでおくと、評価を得やすい回答の傾向が掴めると思います。